蜜色トライアングル ~Winter Blue



「……」


冬青は眠る木葉の頬に唇を寄せた。

すると唇にしっとりした涙の感触があった。

どうやら泣いていたらしい。


一体、何に泣いていたのか……。


今すぐ木葉を起こし、問い正して吐き出させたい。

言わないのであれば、この手指で体を陥落して無理にでも言わせたい。

しかし泣いている木葉にそんなことができるはずもない。


「……ゆっくり眠れ、木葉」


冬青は木葉の唇に優しいキスを落とし、ベッドから離れた。

玄関の前にタオルを引き、横たわる。

さすがに一緒に寝て何もしない自信はない。

冬青は木葉に背を向け、目を閉じた。



<***>

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