蜜色トライアングル ~Winter Blue
2.閉じ込めたい
―――― 一週間後。
木葉はベッドに座り、雑誌をめくっていた。
窓の外では日差しの下、数羽の雀が木の枝に仲良く並んで留まっている。
ここに来てから二週間が過ぎた。
木葉は相変わらずここから一歩も出ることなく、この部屋の中で日々を過ごしている。
食料も雑貨も全て冬青が用意し、洗濯も冬青がコインランドリーに持っていく。
木葉が外に出たいと言っても『特に用事はないだろう』と言って出させてもらえない。
「……」
たまに過保護なところはあったが、今はそれに輪をかけて過保護になっている。
それを、少し嬉しいと思う自分がいる。
木葉は昼食の後、ユニットバスの掃除をすることにした。
ワンルーム用のユニットバスは狭く、シャワーを浴びるだけで精いっぱいだ。
ユニットバスの端に並んだシャンプーやリンスを木葉はじっと見つめた。
その脇には冬青が使っているコロンが置かれている。
コロンはイタリア製で、トップノートは爽やかだがラストにいくにつれてムスクとサンダルウッドの香りが強くなる。
木葉は昨日、ここでこの香りに包まれて受け入れたことを思い出した。
ユニットバスの縁に座った冬青に、後ろから抱きかかえられて……。
体の奥深くを貫かれ、あまりの快楽に逃げようとした木葉の腰を後ろから掴まれ、そして……。