蜜色トライアングル ~Winter Blue



翌日の夕方。


木葉は兄が家を出てからずっと、テーブルの前でじっと考え込んでいた。

こんな風に考えるのは異常なのかもしれない。


兄を閉じ込めてしまいたい、などと思うのは……


「……」


兄には好きな人がいる。

兄が帰ってくるのはいつも深夜だ。

夜はいつも木葉と一緒にいてくれるが、昼は好きな人と会っているのかもしれない。


「……お兄ちゃん……」


――――兄の想い人を、確かめたい。


一度そう思うと止まらなかった。

しかし鍵は兄が持っている。

木葉がマンションから出てしまうと外から鍵をかけることはできない。

と、なると。


「合鍵を……どこかで……」


マンションの下に行けば管理人さんがいるだろう。

そこで聞いてみてもいいかもしれない。

……少し出るくらいなら、大丈夫だろう。

木葉は着替えて身支度をし、部屋を出た。



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