蜜色トライアングル ~Winter Blue
<side.冬青>
夕方。
冬青は雑貨が入った袋を片手にマンションへと急いでいた。
今日は残務が少ないので、残りは明日に回して事務所を早く切り上げた。
ジエンタを駐車場に置き、階段を上がる。
こうしてここに帰ってくるのも慣れた。
――――夢のような毎日。
木葉が傍にいてくれる毎日がここまで幸せなものだとは思っていなかった。
「……?」
鍵を開けて中に入った冬青は、木葉の姿がないことに気が付いた。
部屋を見回しても……ユニットバスの中にも、いない。
冬青の顔から一気に血の気が引いた。
「……木葉?」
鞄を投げるように置き、部屋の隅々まで確認する。
チェストの裏、ベッドの中……。
しかしどこにも木葉はいなかった。
押さえきれない感情が、胸の奥から突き上がる。