Blood Lovers
「血…」
「え…?」
耳元で聞こえた声。咲良が振り返るとそこには、咲良よりも少し背の高い男が立っていた。しかも三人と同じ黎明高校の制服を着ている。
「咲良ちゃん!?」
後ろで叫ぶ舞香の声が遠くなっている。
男は制服の上に羽織っているパーカーのフードを深くかぶっていて、血の流れている咲良の右手を掴んだ。
「ッ…」
(冷たい…)
「大丈夫?」
完全に怯えきっていた咲良だが、男の優しい声に安心してコクリと頷いた。