甘い夢、苦い罠

「よろしく……お願いします」

「うん」

彼は軽く笑うと、私の耳元で囁いた。
彼の吐息が耳にかかる。

「秘密を知った以上、ここから逃げられない。

――いや、オレが逃がさない」



あの時は、いつか逃げられると思っていた。
しかし、日を重ねるごとに私の心は彼に持っていかれた。

心ごと陥落。
正しくそんな言葉がふさわしい。

私の心、身体の全てが彼へと堕ちた――

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