甘い夢、苦い罠
「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。オレは、どうしてキミがここにいるのか理由を訊きたいだけだから」
眼鏡の奥の瞳がキラリと光る。
思わず体が硬直する。
そんな中で、私はゆっくりと口を開いた。
「実は……よく分からない。歩いてたらココに着いた」
街中で見つけた男。
別に意識をしている訳ではなかったが、自然と体が彼を追いかけていた。
どこか知的な印象を受ける彼。
何かに魅せられ、ついてきてしまったのだろう。
私は自分の軽薄さを呪った。