歩ける僕と車椅子のキミ
「そうか。」
―――――……
ここは総合病院の1階のフロア内
にある、ちょっとした休憩ルームだ。
あの後、何故か悠くんは眠って
しまった。
きっと入院生活が終わって
家に帰れることにホッとしたんだと
思う。
すぐに起こすのも可哀想なので、
もう少しの間話をすることになった。
お互いのことをいろいろと
話した。私は自分のことをあまり
人にベラベラ話すのが好きでは
なかったけど、この人には何故か
普通に話ができた。
彼は黒崎ハルマ、29歳。
子持ちの独身、整備会社で
働いているらしい。
何故子持ちで独身なのかまでは
聞いてないし、聞けなかった。
他人の私が首を突っ込むことでは
ないし、誰だって聞かれたくない
ことの一つや二つあるはずだから。
―――――……
「ッで!?」
『ん~?』
志保の話しに耳を傾けながら
本を棚に整理していく。
「ん~?ッじゃないわよ!!
連絡先くらい交換したんでしょ!?」
『してないけど。』
「はあ!?何でよ!!
イケメンなんでしょ!?気になる
んでしょ!?」
『……はぁ』