歩ける僕と車椅子のキミ
「図書館に来る人なんです…。」
そうか、彼女は図書館で働い
てるのか。そういえば、病院で
聞いたよな…
名前は相沢莉子、23歳
仕事は図書館の事務
だったかな…。
足は生まれつき悪いらしい。
『そうか。何かされたのか?』
「…………いえ、でも少し怖くて。」
彼女は俯いたまま答えた。
少しって感じじゃねーな…
『何かあってからじゃ遅いしな。
警察が聞いてくれるとも思わない
し…。仕事帰りで少し遅くなっても
いいなら図書館まで迎えに行こうか?
迷惑でなければだが。』
彼女はびっくりしたように俺の顔を
ジッと見た。
そして…
「ッでも、悪いですよ。
黒崎さんに迷惑かけられません。」
『俺はいいよ。
悠が病院に馴染めたのはアンタの
おかげみたいだから。
ていうか既に巻き込まれた訳だし。』
「…本当にいいんですか?
迷惑じゃないですか?」
『ああ、迎え行く。
俺の職場さっきの自販機の近く
だから、何かあったらいつでも
来ればいい。』
「ありがとうございます。
本当に助かります…。」