隣の席のオオカミ!【完】
着いたのは、裏庭だった。


「ここに来りゃあ、大丈夫だろ……」

葉山君はかなり走ったみたいで、ハァハァと息を切らしている。


「で。何を言おうとした?」

「え?」

「さっき、言いかけてただろ。『私、葉山君が』って」

「あ……」

そーいえば……。


思い出したとたん、また顔が火が吹いたように熱くなる。


「何だったんだよ?」

葉山君は少しずつ近づいてくる。


「え、えっと……。そのね、なんでもないの。だから、忘れて」

「忘れさせねェよ」
< 99 / 156 >

この作品をシェア

pagetop