家族☆ごっこ★
「ここちゃん 来てくれたの!?」

青白い顔をして輝紗貴が起き上がる。


「寝てていいよ。ごめんね無理させたから…。」

「違うよ。私 すっごく楽しかったんだよ。
だからごめんね。イヤな思いさせて。」

輝紗貴はいい子だなって思った。


「でもね…よかったの。」

「え?」

「向こうで入院が決まってたんだけどね…。
札幌で入院できたのはラッキーだった。」

「どうして?」

「だって向こう行ってもこうやって見舞ってくれる人
誰もいないんだもん。
おかあさんも もう私が邪魔みたいだし…。
友達もいないし…。どこに行っても一人だけど
ここにいたら ここちゃんも来てくれるし
おじさま おばさま それから淳くんもいる。
それに……。」

輝紗貴が言葉を濁した。


「どうしたの?」

「彼がきてくれたんだ。だけど……。
好きな人がいるって言われちゃった。」


ドキンとした。


「大切な人を見つけたんだって…。
その人のこと…守りたいんだって…。
振られちゃったよ。どうして…私じゃなかったのかな。
あんなに…一緒にいたのに…。」


輝紗貴が泣き出した。

私も心臓がキュンとした。
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