【完】あなたの傍で・・・何色に染まりますか
翌朝…潤の車で病院へ行く。

潤は、何にもないから大丈夫だよって言ってくれたけど…
やっぱり不安になる…

彩音の笑顔がないのが一番の心配だって潤は言うから…
私は潤に笑って見せた…


私はいつも通り仕事を始める…

院長はいつもの時間にやってきた。


院長は私に向かって頭を下げた…

「すまない…昨日のこと。
 昨日、あのバカが君に無理やり…すまない。」

『院長…どうしてそれを?』

「若手の指導をする第二研修室は駐車場側に窓があるだろう…
 昨日、何気に窓の外をみたら、君には決まった人がいたんだね。
 そこへ、あのバカが、割り込んで、無理やり…すまない」

『院長、頭をあげてください。院長に頭を下げられるとつらいですから…』
 
「あいつは、元の病院に返すから・・・とりあえず一週間の研修として受け入れたんだ。もし、君と仲良くなることがあれば、うちに受け入れようと…
 すまなかったね。彼との仲は大丈夫だったかい?
 もし、何かあったら、私が、君の彼に会って説明をさせてもらいたい。」

『大丈夫ですから・・・彼とは話もしましたし。
 心配されるようなことはありませんから・・・』

昨日のことは院長に言う必要がないと思う…
秘書に頭を下げることは苦痛のはずなのに、それが院長と言う人だ。

私は、院長を医者としてはもちろん、人として尊敬している。
だから、私はこの人に仕えているのだ。

昨日は仕事をやめようなんて考えたけど、潤のおかげだなっ。

それから、通常業務に戻った。

あれ以来、高木先生の顔を見ることはなくなっていた。
まったく人騒がせな人だった… 
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