【完】あなたの傍で・・・何色に染まりますか
「あんた…前に俺と一度あっているの覚えてる?」

えっ…私はこの人を一度あっているの??

私の頭の中で???ばかり。

仕事柄、人の顔と名前を覚えるのは結構得な方…
でも、私の頭の中のコンピューターをたたいても、”該当なし”の回答。

こう言うときは謝るのが一番いい。
『すいません。いつお会いしましたでしょうか?』


「まぁ…覚えていなくて当然だよな。
 前に山であったんだよ。」

山??って、前に一度だけ連れてってもらったことがある…あの山のこと?

「あんとき、自販機の前で話しかけたら、逃げられたけど…」

そう言われるとなんとなく記憶があるような…ないような…

『ごめんなさい。覚えてなくて…私、あの日初めて連れて行ってもらったので…周りに圧倒されて覚えてないです。ごめんなさい』


「謝ることないよ。話をしたわけではないし…
 でも、こんなとこにいないタイプのお嬢さんだと思って覚えてたんだ。

 あれから、山にはきていないの?」

『ええ。和人達に連れて行ってもらっただけだから…』

「だからあわなかったんだ。どんな時間に行っても…」

 小さな、小さな独り言のような声…

 正直聞き取れなかった

『えっ?何ですか?』

< 22 / 166 >

この作品をシェア

pagetop