【完】あなたの傍で・・・何色に染まりますか
「いや…なんでもないよ。それより、和人のお見舞いに来たんだろ。
 帰り送ってくよ。」

『ありがとうございます。でも、私、あそこから電車で帰りますから…
 大丈夫です。』

「やっぱり警戒してるよな。こんなだから…お嬢さんとしては当然か。」

あまりにもお嬢さん発言をされるとちょっと怒りたくなる。

『何度も言ってますが…お嬢さんではありませんから…』

そう言って、私は彼のことをにらんだ。

私がにらんだ所で、凄みなど何もない…

はたから見れば、上目づかいをしただけの状態…

「フフフ。やっぱりお嬢さんだな…
 きっとあんた今にらんでいるつもりだろうけど…
 その目、ちょっとやばいよ。
 誘われているみたいだから…」

もう…踏んだり蹴ったりとはこのことだ。

『もう…帰ります。失礼します…』

私は、捨て台詞のように言いながら、駅へと向かった。


彼は私を追いかけては来なかった。
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