秘 密
キョウとの出逢いはSNSだった。
その日、二人分の夕飯を作り終えて、帰りの遅い夫の帰宅を待つ間、時間を持て余していた私は、
趣味で執筆している携帯小説サイトで作品を更新した後、
当時、日課となっていた、登録している別のウェブサイトを開いていた。
そして、そこにある恋愛系のコミュニティーで、キョウの書き込みを見かけた。
《どうしていいのか分からない。
苦しい。》
この短く紡がれた言葉。
こんな書き込みは、山ほど目にしたことがあるはずなのに、
私は何故か、キョウの書き込みに捕らわれた。
だから、私はそれに対して
《大丈夫。
その痛みはきっと、あなたを幸せに導く為にあるから。》
と、コメントした。
普段は、何を感じても、決して書き込みなどしなかった私。
それが何故、キョウのコメントに返事をしたのかは未だに不思議に思う。
でも、そのことがきっかけとなり、私とキョウはそのサイト内でメッセージをやり取りするようになった。