秘 密
その夜、突然届いたキョウからのメッセージ。
私は普段、サイト内で届いたメッセージには、不信を抱くようなものが多かったから、基本的には返信などしない。
けれど、何故だろう?
キョウから初めて届いたメッセージには、不思議と嫌悪感を抱くことは無かった。
それは、自分のことを“俺"でも“僕"でもなく、“私"と書かれた丁寧な文面が、
私に、彼の真面目で誠実な人柄を想像させたからだろうか。
しかし、このたった一通のメッセージは、私が今まで抱いていた、このサイトでのメッセージに対する警戒心を打ち消していた。
そして、文章から伝わる彼の彼女へ対する真っ直ぐな想いは、私に無視することを拒ませた。
とはいえ、
恋愛経験が決して豊富とは言えない私。
世間一般的には、少ない方なのかもしれない。
そんな私が、彼の悩みを聞いていいのだろうか。
その迷いから、直ぐに返信することは出来なかった。