ありきたりな"恋"
「あ、栗原さん。」
入ってきたのは先生だった。
「せ、先生!」
今日しゃべれなかったから嬉しい…。
担任だから会うことはできてるんだけどね。
「何してるの?帰らないの?」
「えっとちょっと用があって…」
小谷野くんに待たされてるなんて言えなかった。
言いたくなかった。
「そーなんだ。そうだ。時間あるならちょっと手伝ってくれない?あ、もちろんご褒美あるよー。」
「はい!手伝います!」
「はは。そんなにご褒美が嬉しいか。」
ご褒美なんか嬉しいわけじゃない。
先生と一緒にいれる嬉しさでつい喜んでしまった。
「じゃあ、これ。一緒に閉じてもらえる?」
「はい!」