年下男子にご用心!?
いない、いない。

うん、よし、大丈夫。


辺りを見回して会社を出る。

かなり泣いてしまってトイレの鏡を見たら、目元はボンボンに腫れ目は真っ赤だった。

でも、この暗闇が酷い顔を隠してくれている。


「――っ!」


ふいに歩いていたら、後ろから腕を掴まれた。
そして肩にも触れられ、いとも簡単に操られた私の身体に、降った声。


「翠さんっ!・・どうしたんですか、その顔」


バレた。

だから顔を合わせたくなかったのに・・・。

でも、時間はもう9時すぎのはず。

帰ったかもって思ってたのに今まで、待ってたの?
探してたの?


「翠さん・・・」

「あーこの通り泣いちゃって、顔を見せたくなくて」

「だからって・・・何があったんですか」

「・・・何もないわよ」

「じゃ、たくさん泣いたような、その顔の理由は」

「それは・・・」


返答に思わずつまる。


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