面倒臭がり屋の恋!?(仮)
『――美味しいですか?』
「う、うん…。」
まんまと池波くんの仕掛けた罠にはまった私は、一流ホテルのレストランで、豪華な料理を食べている。
『…怒ってます?勝手にここへ連れて来たこと。』
「怒って…は、ないけど…。」
『なら良かった。』
私の言葉に、池波くんは安堵の表情を浮かべた。
池波くんを…怒るつもりはない。
今まで私は池波くんの誘いを嘘をついてまで断って来たんだし…。
正面から誘っても無理だって思ってのことだったら、私がいけなかったんだし…。
「池波くんって…お金持ちなの?」
ふと思えば、疑問に思った。
池波くんは去年、ウチに来たばかりで、給料も私よりも低いと思う。
それなのに、スポーツカーを持ってたり、こんな高級レストランに私を連れてきたり――…
どう考えてもウチの給料じゃ賄えないはず。
『クス…さぁ?どうでしょうね?』
「・・・。池波くんって、案外意地悪なのね。」
『クスッ…茉子先輩には負けますよ。』
「……!」
さらりと私の嫌みを避けて、私の名前を呼んだ池波くん。
彼は…小悪魔なのだろうか。