面倒臭がり屋の恋!?(仮)
たびたび、彼は私を頼ってやってくる。
それは、彼の教育担当の子が、彼に惹かれて仕事を教えるどころか、彼の仕事ほとんどを『私がやるから』と言って、自分で片付けたから。
それじゃあ、池波くんは何もできなくなってしまうのに。
それを池波くんも分かっていたらしい。
最初は他の人に教えてもらっていたらしいが、皆が自分には教えずに片付けて行く。
その中で、唯一彼自身に仕事を教え、彼にやらせたのが私、だったらしい。
それから、事あるごとに彼は私のデスクへとやってくる。
――それが後に、面倒くさいことになると全く知らずに。
彼が私だけに頼ってくることを、女子社員の方々はお気に召さなかったようで、それから度々、私が彼に仕事を教えようとすると決まって邪魔が入るようになった。
私も面倒臭がりであるから、手間が省けると思って気にしないようにしている。
時たま、池波くんは複雑な表情をしている時があるけれど。
でもそれを詮索することさえも面倒臭い。
課長が呼んでるなんてよくもまぁそんな嘘が毎度毎度付けるよねぇ~…。
半分感心、半分呆れながら、私は自分の仕事に戻って行った。