面倒臭がり屋の恋!?(仮)
茉子先輩と、俺のデスクは遠い。
茉子先輩は基本、仕事に集中しているから、俺が声をかけないと話せなかった。
朝の挨拶だって、話しかけるのはいつも俺。
茉子先輩から話しかけられたことすらない。
だから――
今日、茉子先輩と一切話していないことの方が普通なんだ。
俺が茉子先輩に関わろうとかしない限り、俺と茉子先輩は交りあわない。
そのことを想うと、つくづく俺だけが茉子先輩のことを好きだったんだって気付かされる。
茉子先輩は、俺のことを何とも思ってなかったんだって。
『池波くんっ、』
「あ、水島先輩…。」
『ご飯、一緒にどぉ?』
「あ――俺、遠慮します。弁当なんで。」
『え~?じゃ、食堂で食べよ?ね?』
どうしても引き下がる気はないらしい。
水島先輩が一番気が強い…というか、何回断っても誘ってくる…先輩に対して失礼だけど、しつこい女。
それに比べて茉子先輩は――…
って、何考えてんだ。俺。
「…分かりました。これ終わらせたら行きますんで――」
『はいっ、終わり!行こっ?ねっ!』
「ちょっ…!!」
勝手にパソコンをロックされて、強引に社内を連れだされた。
その時に茉子先輩の目線が俺に向けられていて――…俺は不覚にも、避けてしまった。