面倒臭がり屋の恋!?(仮)
『――志葉先輩っ!これ、どうすればいいんですか?』
新入社員の指導がしやすいようにと、私の隣のデスクには、井上さん。
仕事へのやる気は十分に感じられ、仕事の呑み込みも早い。
あまり手のかからない子で良かったー。と思いながら、今までタイピングしていた手を休める。
「あーこれね。まずこれは、――」
『えっ、池波先輩って、T大卒業なんですか!?すごーいっ!』
『まぁ…それで、ここのやり方は――』
『私っ、T大に通ってる友人もいるんですよー!』
「・・・。」
さっきから、雑音にしては大きすぎる雑音が、すぐ後ろから聞こえてきている。
原因は、池波くんが担当している新入社員・児玉さん。
顔は派手で、いかにも女の子っぽい子。
その見た目からも想像できるように、今、教育係である池波くんの話も聞かずに、余計な事をぺらぺらと話している。
『志葉先輩?』
「――、ぁあ、ごめんね。で、これは――」
『あの、後ろの人たちですか?』
「え?」
気にせず、指導をしようと思ったのに、あっさりとさえぎられる。
さすが、女の子。
勘が鋭い。