きっかけは歯科検診
「颯汰!おかえりっ」
アパートの扉をあけると、エプロンをつけた舞華が飛びついてきた。
「舞華ね、今日は肉じゃが作ったんだよ!いいお嫁さんなれちゃう♪」
舞華の香水の匂いにむせそうになりながら、さり気なく舞華を引き離してソファーに腰かけた。
「舞華和食苦手じゃん」
舞華は和食を作るのが苦手だ。
だから、だいたいは洋食か中華。
「大好きな颯汰のために頑張ったんだよ!誉めて誉めてっ」
俺に顔を向け、ご褒美のちゅう、と言わんばかりに唇を突き出している。
付き合い初めはかわいくて仕方なかった動作も、今はうざったいだけだ。
「はいはい、よく頑張ったな。」