叶うのであればもう一度...
第一章

現実

少し騒がしい部屋の外の音に目が覚めた

いつもと少しも変わらない天上を見てホッとする


今日も無事、朝が迎えられた

私はいつも安心する

私はまだ生きてる


嬉しいことやけど、今の私には複雑すぎた


今日も、あの時と同じように雨が降ってる

梅雨の時期やからしょうがないねんけど、雨は嫌い


嫌でもあの日を思い出す


楽し過ぎた日常が一気に崩れたあの日


―――――――――――――
高校2年生 1月


お弁当をつつきながら友達と話せる、お昼休みが大好き

休み時間より長くて、少し落ち着く


「愛香、今日さアイス食べに行かへん?」


こんな真冬にアイスなんか無理に決まってるやん

「嫌。寒いやん」

私がそう言うと、案の定不機嫌な顔で文句を言ってきた


「ケチ、店ん中はあったかいねんから寒くないやん」


真冬にアイスなんか食べようとするこのアホは、篠原 梨乃(シノハラ リ ノ)

私の親友


「それに私、今日は陵ちゃんと帰るからダメ」

「はいはい、仲良くていーですネー」


軽く睨まれてるけど気にせずお弁当をしまった



「あー!!篠原お前っ!」

いきなり廊下から聞こえてきた声にビクっとして声のした方を見る


「あ、佐伯...」

梨乃はそう呟いたあと、カバンをゴソゴソ探りだした
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