eternal snow
黙ったまま、
自転車の音と、スニーカーの鳴る音。



歩いていた。



家の前で、
私を一瞬だけ見つめる。


そのまま、行ってしまう。



何日も、続いた。


自然の音、冷たい風。


学校でも、塾でも、
マサミは私に近付かない。
人の輪の中で、
えくぼを作って微笑む。



何だろう。
この人の距離は、
何だってこんなに
心地いいんだろう。

この人の呼吸は、
どうしてこんなに
安定したリズムを刻むんだろう。


触れていないのに、
…何て
……あたたかいんだろう。



乾いた風が吹く。
耳が痛いぐらい、冷たい。



ホッ、と息をはく。
白い霧が、はかなく消える。



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