eternal snow
その子は、
少しいぶかしげな顔をして
それからまたにこやかに
小首をかしげて前を向いた。



1番後ろの、隅の席に座った。



みんな仲が良いみたいだ。
テキストを見ながら
何やら楽しげに
会話をしている。



「おっ、近藤先生!いらっしゃい」


襖を開けて、
緒方拳…似のおじさんが、
裸足でのしのし入って来た。



「今日から来てくれてるからな。
仲良うしたってくれよ」



目尻を下げて、
優しげな笑顔でおじさんが言った。


「さ、ほならテキスト見て。
はい、宮武先生。問題読んで、元気よくな」



先生、は親しみをこめて言う
おじさんの口癖のようだ。



「はい、そこまで。
ところで昨日は見たか?めっちゃ流れてたやろ」


と、突然
流星群の話に脱線した。


2時間の間の半分弱は、
おじさんの
自由な目線で繰り広げる、
趣味の世界で。


結構、面白かった。



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