ウソつき恋唄
1 ふわりふわり





桜というのは、残酷な名前だと思う。


サクラ、なんて、
散っていくだけで儚すぎる。

一瞬だけ愛されて、散って、
踏まれていく運命、だなんて…





* * * * * *





「さくら、あのね。
あたし好きな人できたの。」


美南は可愛い顔を赤く染めて、
恥ずかしそうに言った。

まるで、少女マンガのヒロインみたいに可愛くて、羨ましい。



「だれ?」

「あのね…
ゆ…うだいくん……」




雷に打たれたかのように驚いた。
そして、海のような不安が過った。
不安?ちがう。確信だ。
暗く、深い確信。











< 1 / 13 >

この作品をシェア

pagetop