ウソつき恋唄
1 ふわりふわり
桜というのは、残酷な名前だと思う。
サクラ、なんて、
散っていくだけで儚すぎる。
一瞬だけ愛されて、散って、
踏まれていく運命、だなんて…
* * * * * *
「さくら、あのね。
あたし好きな人できたの。」
美南は可愛い顔を赤く染めて、
恥ずかしそうに言った。
まるで、少女マンガのヒロインみたいに可愛くて、羨ましい。
「だれ?」
「あのね…
ゆ…うだいくん……」
雷に打たれたかのように驚いた。
そして、海のような不安が過った。
不安?ちがう。確信だ。
暗く、深い確信。