ウソつき恋唄
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「さくら?」
塾の美南ちゃんと、
バスケ部の佳奈ちゃんが居ない帰り道、
後から声をかけてきたのは、猛くんだった。
「なんだ、猛くんかあ…」
「はっ、なんだよソレ。」
「いや、別にー?」
「なんだよ、それ」
「えへへーっ」
猛くんとは、今も仲良しだ。
結局私は、猛くんと友達のまま。
一つだけ、違うこと。
それは、この輪に美南ちゃんが居ないこと。
それ゙だげであって、゙そゔなのだ。
「明後日の祭り、美南と行くの?」
「ううん。美南ちゃんは、ピアノのレッスン。佳奈ちゃんは彼氏とデート
だって。」
「じゃあ行かねえの?」
「多分…。だって、一人で行ったって、楽しくないでしょう?」
花火見たかったけど。
綿菓子食べたかったけど。
きっと、一人では味気ない。
お母さんに買ってきてもらおう。