エトセトラエトセトラ
ほのかに微笑んだ彼女のその表情を、僕は見逃さなかった。切なげに歪む、その口元を。
今度は僕がくすりと笑って、彼女の頭を更に引き寄せ髪を梳く。
「今更なに言ってんの」
指の間からさらさらと彼女の髪の毛が流れる。
「だって、」
「もう、手遅れだよ」
そう言って、言葉を紡ごうとする彼女の口を自分のそれで塞いだ。
(心まで、吸い取られちゃったのかな……)
心地よい彼女の髪の手触りと唇の感触に酔いながら、そんなことをぼんやりと思った。
A certain vampire
――――とある吸血鬼
end