冗談ばかりの彼氏さま
「翔子っ!勝手に話を進めないで!あたしは納得してないんだから!」
「え?キスしちゃうのに?」
「……」
た、たしかに……
いや、でもキスは
椋也が勝手にしてきたわけだしね?
「あぁ!!? キスって……なんだよ、それ!」
バンッと机を叩いて眉間に皺を寄せる巽。
……なぜ巽が怒る?
怒りたいのは
あたしなんですけど?
そんなことを考えている間に
翔子がペラペラと巽に事情を話していた。
それを聞いて
しばらく黙ったままだった巽はあたしに言う。
「…結真。マジ悪趣味」
「褒めてくれてありがとー。
あたしだって好きでこんな事になったんじゃないからー」
作り笑いで上手く返して
自分の席に座ると
ちょうど担任がやってきて
それから話は途絶えた。
“悪趣味”?
そんなの
あたしが選んだんじゃないってば!
椋也なんて……大っ嫌い!