冗談ばかりの彼氏さま




翔子にそう告げて教室を出ると


あたしは自分のクラスから近い順に回りながら
美化委員にプリントを配った。




「これ、美化委員の」



「おっけ! ありがとう」



そして最後のクラス。
そこに来ると
あたしは固まってしまった。



だって……
ここはアイツがいるクラス……



しかも美化委員が誰か分かんないし…



はあ……帰りたい……



あたしが途方に暮れていると




「ゆーま」



「……ッ!!?」



後ろから“あの声”が聞こえてきて、しかも振り向く前に抱きしめられてしまう。


その人からは
きつくない爽やかな香水の匂いと共に、女の子の香水の匂いがした。




「嬉しいなー。結真から会いに来てくれるなんて」



「……会いにきてない」





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