冗談ばかりの彼氏さま
「椋也ッ!!」
そう叫んだのは、あたしではない。
あまりに大きな声で喚く誰かにあたしは目を向けた。
そこには髪をくるくる巻いていて、まるでお人形のような美少女が立っていた。
しかもスタイル良いし…
美少女がやってきて
一時的に椋也の行動が止まった。
「……美夜(ミヤ)?」
ぽつりと呟くような声は
彼と至近距離にいるあたしには十分きこえた。
――――だれ?
「本当に南さんと付き合ってるの?…もう、私は要らない?」
涙をいっぱいに溜めて美夜ちゃんは椋也だけを見つめた。
「…美夜」
「大好き…椋也……っ」
椋也もあたしなんて、もう見ちゃいない。
ここには
2人だけの空間が造り出されていた。