冗談ばかりの彼氏さま




「なんでさっき、美夜の代わりとか言ったの?」


穏やかに聞こえる声。
顔は見えないから椋也が何を思って言っているのか分からない。



「だって…あんな可愛い子と別れたんだから……あたしは誰かの代わりか、遊びかと…」


そうとしか考えられない。

学校の人気者が、かつ、女遊びもするような人なのだから。



ジャージを握り締めながら、あたしの視界は涙で歪んだ。



「なにそれ」



シャッと突然カーテンが開いたかと思うと、そのまま椋也に押し倒された。



「やっ…椋也……っ」



あたし、ブラとスカートなんだけど!!



そんな事はお構い無しで
椋也はあたしの唇にチュッと軽く口づけてから、下へと移動する。



「やっぱり結真は何にもわかってない。自分の価値」



「え…な、に?……ひゃっ、んっ…」



聞き返そうとすると
ぴりっと胸元らへんに痛みを感じた。



いま…なにしたの?



「…ん、上出来かな。
つか、結真が美夜の代わりとか有り得ないから」


「でも…!」



「逆に俺は美夜を結真の代わりにしてた。…美夜には悪いけどね」



そうなの?


「でも、罪悪感でてきて、すぐに別れちゃったけどね」



「そ…うなんだ……」



その言葉を聞いて
すごくホッとしている自分がいる。




< 53 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop