冗談ばかりの彼氏さま
そう思って
くるっと後ろを振り向いたあたしは、顔が青ざめてしまった。
それは、今にも誰かを殺してしまう勢いで、あたしと巽を睨む椋也が立っていたからだ。
うぅっ…! り、椋也……っ!!
「おはよう、結真。堂々と浮気だなんて余裕だね」
にこにこ笑う椋也だけど、あたしには分かる。絶対に……怒ってる!!
でも、あたしは
こんなことで引いたりはしない!!
「巽は友達だから! そんなことで浮気なら、椋也はもっと浮気者だわ!」
そう言って睨み付けてやれば、なぜか、ふわりと笑う椋也。
「…そっかぁ。結真は怒るほど、俺が女の子と仲良くしてほしくないのかー……ヤキモチ妬きだね」
「……はぃ!!?」
どうしてそうなる!!
「大丈夫だよ、結真。俺が好きなのは結真だから…」
「そうゆー事じゃなくて…!!」
簡単に好きだと言ってしまう椋也に、あたしは赤面しながら怒鳴った。
「あのさ、遊谷。
結真マジで嫌そうだから、近づかないでくんね?」
すると、黙っていた巽が抱き締める力を強めて椋也にそう言った。