冗談ばかりの彼氏さま
ただ椋也は
あたしの首とかに付けたキスマークを巽に見せびらかすだけだった。
てか、なんで
巽はそこまで顔が赤いの?
「え、こ……これだけ?」
もっと、なにかされると思ってた!
そう思っていたあたしは安堵のため息を吐く。しかし、そのため息を椋也は勘違いしたらしく、
「ん?結真はもっと他に何かしてほしかった? そっかーじゃあ後でしようね」
「ちちっ、違うっ!!」
なんで、ポジティブな方にしか考えられないのかな!!?
あたしと椋也が言い合ってる中、巽だけがズーンと沈んでいた。
「まじか……もう結真は、コイツと……」
とか何とか言って
ボソボソ独り言を呟いていた。
「どうしたの……巽?」
あたしが尋ねても、返事がない巽。なので、笑いながらも翔子が答えてくれた。
「ふふっ、巽は色々と勘違いしてるみたいね♪」
「勘違い?」
「そう。私も結真から話を聞いてなかったら勘違いしてるだろうし……倍返ししたわね、遊谷くん?」
そう言えば椋也は
にこりと王子様のように笑って見せた。
「ん?なんのことかな?
まぁ、俺の結真に触れたんだから、これくらい自業自得だよね」
……おい!
“俺の結真”ってなんだよ!
あたしは
まだ、あんたのものじゃないわよ!