冗談ばかりの彼氏さま
だけど……
「なに黙って睨んでんの?ムカつくわね」
……睨んでないし。
そう思いながらため息をついたのが、いけなかった。
一人の女の子が近くにあったゴミ箱を蹴ったのだ。
ガシャンと盛大な音がするのに、一瞬びくりと肩を震わせた。
そして、もう一人は
鉄製の棒を構えている。
あ、あのー……なにこれ、こわいんだけど!!
「生意気な態度とってんじゃないわよ!!」
そう言って女の子があたしに蹴りを入れてきたので
あたしは黙ってやり過ごすことが出来なくなった。
トン。
蹴った後にしては静かすぎる音だった。