冗談ばかりの彼氏さま
そう言って走り出した巽に
「結真を頼むわねー!」と翔子の声が廊下に響いた。
「どっ、どこ行くの?」
靴を履くのを急かされて、履けたかと思えば
また走り出す。
「とりあえず、結真の好きなとこ行こーぜ!」
「巽……」
「早くいつもみたいに笑えよなっ!」
そう言って無邪気に笑う巽はすごく眩しくて
あたしには、もったいないなって感じた。
走って連れてきてくれたのは、アイス屋さんで、好きなアイスを奢ってくれた。
そのあと、ぶらぶら雑貨やさんを見て
これが可愛いだとか、この豚、結真みてぇー(笑)て笑ったりだとか些細なことに笑わされた。
つられて、笑って
「やっと結真らしくなった」って巽に言われて恥ずかしくなった。
「ありがとう、巽」
「いいんだって。俺がしたかったんだから!
つか、お前のワガママとか翔子に比べたらマシだし。アイツはもはや俺を人として扱わねぇーからな」
「あははっ、それは薄々 感じてた(笑)」
「えっ、周りから見ても俺の扱いってそうなの!?
うっわぁ~、もう俺ムリ。気が重くなってきたわ」