冗談ばかりの彼氏さま
だれもいない階段へと連れて来られて
あたしは黙ったまま椋也を見た。
ふいに近づく椋也の顏も避けずにいると
ちゅっと触れるだけのキスを1つ落とされた。
「今日はやけに大人しいね。大人しい結真も新鮮で好きだけど」
「もう、そーいうの言わなくていい」
キスの時にあたしの頬を触れていた椋也の手に優しく触れる。
「どーいうこと?」
「嘘なんて、虚しいだけだから……もう終わりにしよう」
優しく触れて握って、あたしからその手を離す。
もう、こんな関係、終わりにして
一から、やり直したい。
「それは……別れるってこと?」
「そう」
「どうして?」
今度は片想いから、やり直すんだ。
「椋也は、誰のものでもないんでしょ?
みんなが平等に好きなんでしょ?だったら、付き合ってる意味、ない」
「……この前の昼休みの話だね。ずっと言ってなかったね、あれは……」
その時、階段の上の方から声が響いた。