冗談ばかりの彼氏さま
「でもね、あたしは椋也のものなの。……好きだから。
椋也の好きなものの、ほんの一部だったとしても、あたしは椋也のものだから……それで、いいの」
つー、と一滴の涙が頬を伝った。
椋也が必要だというなら、そばにいる。
椋也が要らないなら、それでもいい。
もう後戻りなんて、できないの。
好きになっちゃったから……
「ゆ……ま……?」
驚いて何も言えない椋也。
それとは裏腹にまりえさんは怒りを露にした。
「ふざけないで。椋也は私のもの。
他の誰のものでもないわ!!アンタみたいな……アンタみたいなヤツ、私の前からも椋也の前からも消えちゃえばいい!!」
その瞬間、まりえさんが何かをこちらに投げつけるのが見えた。
鉄製の……棒? 昼休みの時のより大きい……金属バット!?
「まっ、まりえ!! ここで投げたら椋也様にも当たっちゃうよ!?」
「あっ……!!」
もう、遅かった。
あたしたちよりも上の階段から投げた金属バットは
重力の影響もあって
まりえさんの力を倍にして、あたしたちに迫り来る。