冗談ばかりの彼氏さま










―――人は死にそうになっても、なかなか死なない生き物だ。





「……ぁ、れ? あたし……」




「あっ!!南さん起きた!?
んもぉ~、びっくりしたわ!!でも安心して。軽い脳震盪(のうしんとう)起こしただけだから。あと、ちょっと頭切っちゃったくらいかな?」



だから命に別状はないわよ?一応、病院には行ってね♪と明るく保健医に言われてほっとした。



なーんだ、全然へっちゃらだったんだ。




もう死ぬのかと思った……




「ここまで、遊谷くんと阿部くんが運んでくれたのよ?あとでお礼言っておくのよ?」




「あの二人が……」



「阿部くんの慌てっぷりにも今なら笑えるけど、遊谷くんが深刻そうな顏して南さん見てるから、もうどうしようかと思ったわ」





巽の反応は想像できるけど、椋也の深刻そうな顏とか想像できないなあー。





ガラッ。



その時、保健室のドアが開いて
泣きながら翔子が抱き締めてきた。



「結真ぁーっ!! アンタ何してんのよ!翔子様より先に死んだら一生恨むつもりだったわ!!」




「いたいってば、翔子」




ズキッと痛みが走り、頭を抑えて初めて包帯が巻かれているのに気がついた。






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