冗談ばかりの彼氏さま




「キャーー!!」




甲高い叫びが結真たちが行ってしまった方から聞こえて
翔子と巽は視線を合わすと走ってその場へ急いだ。



そこには階段の上で唖然となるまりえさんと
青ざめて下を見ている二人の女の子。


その視線の先には
頭から血を流して、ぐったりしている結真を抱える椋也。




「結真、結真……」



と独り言のようにずっと名前を呼んで
周りのことは頭に入っていない状態だった。



「ちがうの……っ。本当に投げるつもりじゃ……」



そう言ったまりえさんはガクガクとその場に崩れ落ちた。




「結真!?」



翔子が結真の状態を見ようとしても、椋也がしっかり結真を抱き締めているため、よく見えない。

ただ椋也のシャツが血で濡れていくのが見えるだけだった。





「おい、遊谷っ!!! なにがあった!?」





放心状態の椋也に巽が尋ねても、なかなか返答がなく

しばらくして

「結真が俺を庇って……」とだけ呟いた。








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