冗談ばかりの彼氏さま
にこり。
口角を上げているはずなのに、目が恐ろしいくらいに冷たいせいで、椋也が椋也じゃなかった。
王子様だなんて、このときの雰囲気からは誰も想像できないだろう。
「まりえも、結真と同じ思い……してみる?」
「椋也……っ!!」
「遊谷、それ以上はやめろ。
……アンタも。もうここにはいない方がいい。遊谷の気に障る」
巽は相手に気を遣いながそう言い、翔子はまりえを保健室から外に連れ出した。
出ていく間際に椋也が
「お前だけは、絶対に許さない」と低い声で告げ
まりえはただ泣いて歩いていった。
そのあと、巽は助っ人でサッカー部へ行き
椋也は結真のカバンを取りに行った。
そこで、結真は目を覚ました。