冗談ばかりの彼氏さま
「そんなことが……」
椋也が怒りを他人に向けるだななんて、想像できない。
「……よっぽど結真のことが心配だったのよ。結真は、もう少し遊谷くんを信じなさい。話し合えばきっと結真の悩みは解決するわ」
「翔子……ありがとう」
あたし、まだ何も翔子に話していないのに……あたしが悩んでるって分かっていたんだ。
なんか……心がすごく、温かい。
「……結真」
あたしを呼ぶその声に、翔子と同時に振り返る。
すると、翔子が
「あらあら、彼氏さまのご登場ね。あたしは、帰るわね結真。また明日」
ひらひらと手を振って
椋也とは入れ違いに、翔子は帰っていった。
保健医も、このあと職員会議があると言って出ていってしまった。
急に二人きりになって
なにを話せばいいのか分からず、あたしは俯いた。
「りょ、うや……怪我はない、の?」
ちらりと椋也を見てみれば、怪我はなさそうだ。
……よかった。
椋也に怪我がないなら、それだけで……
「結真。俺の心配してる場合?」
「え?」
ドサッ。