キミイズム
転校生
side夏樹①
(まいったな…)
さっきから目的地である静音高校が見つからない。
新しい町に来てまだほんの3日。まだ不慣れな町だ。迷ったという言葉を使うのは不本意だがそう表現する他ないようだ。うっすらと白い息がむなしく口から出た。
「やば……迷った…」
「おい」
ハスキー気味なアルトヴォイスに声をかけられ振り向くとジャージ姿で息を弾ませる少年がいた。
「お前、転入生か」
「あ、うん」
学校までと、ついでに職員室までの道を説明してくれるという彼を盗み見ると少しうねった短髪に鋭くつり上がった目、見覚えのあるジャージ…そしてなんと言っても…
「背、高いんだね。羨ましいや。」
自分より頭一つ分高い身長に少し嫉妬してみる。彼は顔をこちらから反らした。
(なんか気に触るようなことを言っただろうか…)
「そんなに良いもんでもねえよ」
「んじゃ、俺行くから。」
気づけば校門の前だった。
「待って名前は、」
「クラスの奴らが騒いでたから、また会うだろ。」
そう言って校舎の裏へと消えていった。
「……あ、お礼言うの忘れてた。」
(まいったな…)
さっきから目的地である静音高校が見つからない。
新しい町に来てまだほんの3日。まだ不慣れな町だ。迷ったという言葉を使うのは不本意だがそう表現する他ないようだ。うっすらと白い息がむなしく口から出た。
「やば……迷った…」
「おい」
ハスキー気味なアルトヴォイスに声をかけられ振り向くとジャージ姿で息を弾ませる少年がいた。
「お前、転入生か」
「あ、うん」
学校までと、ついでに職員室までの道を説明してくれるという彼を盗み見ると少しうねった短髪に鋭くつり上がった目、見覚えのあるジャージ…そしてなんと言っても…
「背、高いんだね。羨ましいや。」
自分より頭一つ分高い身長に少し嫉妬してみる。彼は顔をこちらから反らした。
(なんか気に触るようなことを言っただろうか…)
「そんなに良いもんでもねえよ」
「んじゃ、俺行くから。」
気づけば校門の前だった。
「待って名前は、」
「クラスの奴らが騒いでたから、また会うだろ。」
そう言って校舎の裏へと消えていった。
「……あ、お礼言うの忘れてた。」
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