キミイズム

その途端、どっと教室が騒がしい笑い声であふれる。

「あきらーお前女らしくしないからー」

「うるせーよ!」

教室のどこからか聞こえた女生徒の声に即座に答えた彼、いや彼女は僕をちらりと見て、窓際一番後ろの自分の席についた。

「あー森元はああだが、一応女子だ。仲良くしろよ。隣の席だからな。」
そういう担任教師の一言で、また教室がわいた。


自分の席だと言われた場所について、なにかを説明しだした担任をよそに隣の彼女に話しかけた。

「あの、森元さん?今朝はありがとう。僕、夏樹京太って言います。よろしく。」

握手を求めると、彼女は一瞬見てから

「俺は森元晶だ。よろしく。」

とだけ言った。

(あちゃーこれは嫌われたな…)

「あの、さっきはごめんね、えっと…」

「男と間違えたことか?気にしてない。こんな髪型して、こんな口調の俺が悪いからな。」

そう、自分を指して言った。

「でも、」

「お前、意外と律儀なんだな。」

笑われた。
しかも


(笑うと、女の子にしか見えない。っていうか)



「かわいい…」

「…なんか言ったか?」

「いっいや、なんでもない!!」

(やば、声に出てたか。)

こういうのを、花のような笑顔と言うなら。



(どうして僕、この人のこと男とか思っちゃったんだろ…)
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop