キミイズム
その途端、どっと教室が騒がしい笑い声であふれる。
「あきらーお前女らしくしないからー」
「うるせーよ!」
教室のどこからか聞こえた女生徒の声に即座に答えた彼、いや彼女は僕をちらりと見て、窓際一番後ろの自分の席についた。
「あー森元はああだが、一応女子だ。仲良くしろよ。隣の席だからな。」
そういう担任教師の一言で、また教室がわいた。
自分の席だと言われた場所について、なにかを説明しだした担任をよそに隣の彼女に話しかけた。
「あの、森元さん?今朝はありがとう。僕、夏樹京太って言います。よろしく。」
握手を求めると、彼女は一瞬見てから
「俺は森元晶だ。よろしく。」
とだけ言った。
(あちゃーこれは嫌われたな…)
「あの、さっきはごめんね、えっと…」
「男と間違えたことか?気にしてない。こんな髪型して、こんな口調の俺が悪いからな。」
そう、自分を指して言った。
「でも、」
「お前、意外と律儀なんだな。」
笑われた。
しかも
(笑うと、女の子にしか見えない。っていうか)
「かわいい…」
「…なんか言ったか?」
「いっいや、なんでもない!!」
(やば、声に出てたか。)
こういうのを、花のような笑顔と言うなら。
(どうして僕、この人のこと男とか思っちゃったんだろ…)