‐彼と彼女の恋物語‐
ああ、もう。と呟きながら小さな背中を追う長身の男。
結局、扉が閉まったのは二人分の時間をあけたころ。店の中で何事かと心配していた優子さんが彼と彼女をみて唖然としてる。
彼女に対してなのか優子さんに対してなのかどちらにしろ挑発的な雰囲気を醸し出す長身のイケメン。
「小音ちゃん、お客さん?」
カウンター内に入ってきた彼女に小声で聞いてみればこちらも挑発的にお客さんです、とのこと。
「そっか、いらっしゃ」
「コトがいつもお世話になっています」
「………小音ちゃん、違うみたいだけど」
「すいません、ストーカー癖のあるひとで」
「コト、それはやめて。ちょっとリアルじゃん」
カウンター席の一番奥に座った彼は優子さんとなにやら話しているが彼女はごく普通にスルー。興味が無さすぎる。
「―――ってな感じで」
「迎えに来たんですか、ずいぶん大事なんですね」
「まぁ、好きなひとですし」
「へー…ぞっこんなんですか。あ、今コーヒー淹れますね」
「ありがとうございます」
「(無視無視無視………)」
「小音ちゃんコーヒーお願いね」
「…………わかりました」