‐彼と彼女の恋物語‐



時刻は1時40分。出来上がったチャーハンと餃子、それに野菜スープを並べてようやく仕事が終わる。


駆けるようにパタパタとスリッパを鳴らし廊下を進んで彼の仕事部屋のドアをノックする。



「できた?」



その声と共に出てきたのはパソコンを使っていたからなのか、細い銀縁に四角の薄いレンズがはめ込まれた眼鏡をつけ、いつもとは違う何かを漂わせている彼だ。


なんか、色っぽい。そしてくすぐったい感じがする。



「お待たせしました。すいません」

「いえいえ、食べよっか」



極上の甘い笑みを口許に浮かべてその長い指先で眼鏡を絡めとる。



「早かったね」

「以後気をつけます」

「………(生真面目)」



コーヒーを2つ淹れて席につけば自然と合わさる手と手。本日二度目のあいさつだ。



「いただきます」

「……いただきます」



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