‐彼と彼女の恋物語‐
「あ、小音さん!!!」
「小音ちゃん助けて、敬が虐めんだけど」
彼女と白猫の出現により一瞬で笑顔を見せる山下あずさとまるで被害者ですと言わんばかりの熊谷さん。
「……こんばんわ、あずささんお仕事帰りですか?」
「はい!今日も撮影でした!」
「お疲れ様です…あ、ご飯食べていきますか?」
「はい食べます!!!」
ごく自然な雰囲気でリビングへと向かった二人に彼は不機嫌そうに眉を寄せた。
「山下、コトと仲良くなりやがって……」
彼女は友人と連絡をとったり、ましてや会ったりすることがない。大学でも適当に合わせて過ごしていたらしく同年代の友人が少ないのだ。
だからなのか、連絡を取り合うようになった同年代の山下あずさと最近、仲が良い。
彼としても彼女が何の気兼ねなく接することのできる山下あずさには感謝している。感謝しているのだが。
山下あずさに懐く彼女を見ていると、例え女だろうとやきもきするのだ。
「心せまーい、そんなんじゃいつか離れちゃうよ~」
それを面白がってる熊谷さんは二人の後に続いた。
玄関に残ったのは白猫と彼。
「……離すわけねぇーだろ、
なぁ、ミーヤ」
「みぁゃ~」
「お前は良い子だな、ご飯食べよっか」
抱き上げられたミーヤだって、彼女のことが好きな男の子だ。