‐彼と彼女の恋物語‐
みゃー、と可愛らしい鳴き声を上げながら部屋に入ってきたミーヤを抱き上げ膝の上に乗せると温もりが気持ちいいのか喉をごろごろと鳴らし甘えてくる。
「……コトも甘えてくれればなぁ」
消極的な彼女には絶対あり得ないことを夢見て項垂れる。どうしよう、まじでヤバイかもしれない。
負のスパイラルのように策を浮かべては結果を考え、最悪の結果になったらと思うと何もできなくなってしまう。
「――…離婚とか言われたらどうしよう」
そんなことになったら本気で生きていけない自信がある。彼女無しでは生きる価値すらないと思えるくらいだ。
と、考えては打ちひしがれて抜け出せないループに填まっている状態だ。ただ言えることはどうにかして話を聞き出さなければいけない、ということ。
だが、はぐらかされてしまったらどうしよう。それ以上無理に聞き出すようなことして嫌われたくない。なんて無駄な感情まで生まれて結局何もできない。
彼にとって彼女に嫌われるということは何よりも恐ろしい恐怖でしかない。それこそ本当に生きていけない。
それでも。
「聞かなきゃ、始まらないしなぁー」
彼女が何かを抱えてしまったことが分かってるというのに助けてあげられないなんて不甲斐なさすぎて泣ける。
散々悩んだ結果。ふぅ、と短い息を吐き出した彼は白猫を腕に抱え愛しいひとの元へと足を進めた。緊張気味に。