‐彼と彼女の恋物語‐
ゲージの中からこれでもかというほど可愛らしい声で鳴いた子猫。そして、それにいい反応を見せた彼女。
じっと、鳴き声のするゲージを見つめている。
「好きな時間に家事をやってくれたらいいよ」
「お断りします」
「あ、でも朝ごはんたべたいな」
「お断りします」
「この子ね、ミーヤっていうんだ。この間の雨の日に拾ったんだ」
「………そうなんですか」
「仕事、してくれたらこの子とずっと遊んでていいよ」
「……………」
「どう?いい仕事じゃない?」
「……………」
「……………」
「……………時給は…」
「はい、オッケー。決まりね、よしこのまま行こっか」
幸いにも、猫好きの彼女の性格が功を奏して始まった2人の出逢い。
白い天使は可愛い顔で彼女を誘惑するのである。
ーーーーーー現在。
「ミーヤ、おいで」
「みゃ」
「……(可愛い。ちょっと敬さんに似てきた?)」
「コトちゃーん、かまってよ。ミーヤばっかで寂しいなぁ」
「締め切り大丈夫なんですか」
「休憩、休憩。あーコトにかまってもらえないと仕事できないわー」
「熊谷さん呼びましょうか」
「よし、そうだ、うん。お昼寝しよ」
「お一人でどうぞ」
「はいはい可愛いね、コトちゃん」
「ミーヤごと運ぶんですか。」
「ベッドに寝転ぶ天使と天使か、いい作品が出来そうだ。とりあえず寝よ」
「…起きたら買い物行きませんか?」
「ん、そうしよっか」
「おやすみなさい」
「好きだよ、コト」
2人の間でうたた寝をするのは、もちろん子猫である。